革製品は大事に使っていても、何年も使っていると擦れやひっかき傷が目立ってきますよね。
買ったときのような綺麗な状態に戻したい!
そんな方のために、自分で簡単にできる革製品の補修方法をお伝えします。
この記事は以下のような方におすすめです。
- 自宅で簡単に革製品を補修したい
- 革製品の正しいお手入れ方法を知りたい
- おすすめの補修道具を購入したい
この記事では革製品の補修の手順や用意するもの、補修のポイントなどを解説していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
革製品は自分で補修、リペアできる?
『革製品の補修』と聞くと、職人さんがするような難しそうなイメージがするかもしれません。
しかし、実際のところやり方さえ知ってしまえば、自宅で簡単にできてしまいます。
「ボロボロで捨てようかと思っていた」なんてものが、新品同様に生まれ変わることもあります。
ただ正しい方法で補修しないと、せっかく治るはずだったものがダメになってしまうことがあるので、次から解説する【補修できる範囲】や【革製品の補修方法】を参考にしてみてください。
補修できる範囲
角擦れ
カバンの角や靴のつま先などの擦れやすい箇所は、補色クリームや保湿クリームで補修可能です。
黒やブラウンなどの色であれば調色の必要がなく、数分で擦れが目立たなくなるので、比較的簡単に補修することができます。
ボールペン汚れ・カビ汚れ
不意についてしまったボールペンの汚れや長期間保管していたことが原因でできたカビ汚れは、「ステインリムーバー」などの専用の汚れ落としを使って落とすことができます。
色抜け
擦れや経年劣化などが原因で革本来の色が抜けてしまった場合は、同色の補修クリームで補修できます。
写真のカバンには、Saphirのカラー補修クリーム(カーキ)を使用しました。
ただ、同じ色の補修クリームを持っていない場合は調色が必要なケースもあります。
ひっかき痕
爪でひっかいた痕のような傷には、補色クリームや保湿クリームを塗ると目立たなくなります。
深くえぐったような傷を完璧に目立たなくすることは難しいですが、ひっかいただけの傷は周りの箇所より革が削れているだけなので、レザーローションなどの保湿クリームを塗ると目立たなくなる場合が多いです。
革製品の補修で用意するもの
革製品の補修に必要なものは小さなものから上げるとキリがありませんが、ここでは「必要最低限なもの」と「あると便利なもの」に分けて紹介します。
必要最低限なもの
カラー補修クリーム
色が抜けてしまった箇所の補色に使います。
サフィールやコロニル、M.モゥブレイなどが有名ですが、僕は色の種類が多く汎用性が高いのでサフィールのクリームを愛用しています。
汚れ落としクリーム
革についている汚れやカビなどは、専用の汚れ落としクリームで落とすことができます。
汚れを落としクリームを使うと革表面の汚れや前回塗ったクリームが落ちるので、その後に使うクリームの浸透性が増します。
液状タイプとクリームタイプのものがありますが、下のように使い分けています。
広い範囲の汚れを落としたい時・・・液状タイプ
局所的な汚れを落としたい時 ・・・クリームタイプ
レザーローション
革を保湿して潤いを与えてくれます。
ひっかき傷を目立たなくさせたり、革の水分がなくなってきたときの栄養補給として使用します。
デリケートクリーム
ひとつ前のSAPHIRのレザーローションなどには油分が多く含まれているので、塗りすぎるとベタつきがでる可能性があります。
「ベタつかせずに潤いを与えたい」という場合は、デリケートクリームを使用しましょう。
馬毛ブラシ
表面の汚れや、隅に溜まったホコリを落とすのには馬毛ブラシがあると便利です。
ブラシには馬毛と豚毛がありますが、以下の違いがあり、革製品には馬毛が適しています。
馬毛ブラシ・・・毛が細く柔らかい。デリケートなものに使われる。
豚毛ブラシ・・・1本1本の毛が硬くしっかりしている。生地が厚いものに使われる。
Saphirのブラシ以外で愛用している馬毛ブラシについて、記事を書いています。こちらもどうぞ⇩
クリームを混ぜる容器/棒
カラー補修クリームを水やレザーローションと混ぜるとき、容器と専用の棒があると便利です。
容器を使わず新聞紙や段ボールの上で色を混ぜてしまうと、紙の繊維やゴミが混ざりこんでしまいます。色乗りが悪くなる原因になるので、ここはケチらず用意しましょう。
また、混ぜる棒を綿棒などで代用すると同じようにクリームに繊維が混じってしまうので、木製やプラスチック製の棒を用意すると綺麗なクリームが出来上がります。
百均でも売っているので、近くにある方はそちらでの購入をおすすめします。
パフ/スポンジ
カラー補修クリームやレザーローションなどを塗るときに使用します。
パフを使うと水分が多いクリームは染み込むので、クリームが垂れ落ちることなく作業ができます。
使い捨て前提で、大容量のものを選ぶことをおすすめします。百均でも購入可能です。
ウエス/マイクロファイバークロス
汚れ落としなど表面をさらっと拭きたいときには、布地のウエスなどを使用します。
こちらも使い捨て前提で購入できるものをおすすめします。
ミトン
クリームの拭き上げなど、仕上げ作業で使用します。
手にはめて作業ができるので、ウエスと比べて簡単に扱えます。
あると便利なもの
マスキングテープ
隣り合う箇所で色味の違う革を補修するときや、ステッチ糸をクリームの色で染めたくないときに、マスキングテープで保護します。
注意していても塗りたくないところを塗ってしまうのはあるあるですので、作業前にテープを張る手間は惜しまないようにしましょう。
爪楊枝
隅に溜まったブラシで取れないようなゴミの掻き出しに便利です。
また、固まったクリームを取り除いたりするときにも使います。
1つ買うと当分もつので、購入しておきましょう。
綿棒
クリームのふき取りや、革の細かい溝にクリームを塗り込みたいときにあると便利です。
後述する「ピカール」を使った金属磨きでも使用します。
接着剤
革の剥がれや割れに塗って補修します。
靴のソール剥がれにも使えるの1本持っておくと安心です。
裁縫セット
糸のホツレなどの補修に使用します。
綿やポリエステルなどの薄い生地と違い、革のような厚みのある生地には細い裁縫針では折れてしまう可能性があるので、できるだけ太い針が入った裁縫セットを用意するようにしましょう。
ハサミ
糸を切ったり、ウエスの裁断に使用します。
油分があるクリームなどがついて刃がダメになることがあるので、一定期間で使い捨てられる安価なものを僕は選んでいます。
鏡面磨き用クリーム
革靴の保湿やオイル入れをした後、仕上げ工程で使用します。
つま先や踵部分を磨いて光沢を出すことで、高級感ある見た目に仕上げることができます。
必ず必要な工程ではありませんが、輝きのある靴に仕上げたい場合は用意することをおすすめします。
ハンドラップ
ハンドラップ内の水が、ワンプッシュで出てくる便利な機器です。
「靴磨きの初めに水を用意して、作業が終われば水を捨てる」という工程は、何度もやっていると意外と手間に感じてきます。ハンドラップにあらかじめ水を入れておけば、蒸発することなく次の作業にも使えるので手間を減らすためには必須のアイテムだといえます。
鏡面磨きのコツは”多すぎず少なすぎない”量の水でワックスを塗り重ねることなので、毎回適量の水を出してくれるハンドラップがあれば失敗することなく鏡面磨きができます。
ピカール
金属部分の汚れやくすみを取るための塗料です。
傷や割れなどを直すことはできませんが、表面の汚れは綿棒などでこすると比較的簡単にとることができます。
業務用として使われる塗料でニオイもきついものなので、室内で使うときには必ず換気しながら作業するようにしましょう。
革製品の補修方法
前述したアイテムを使って、実際に革製品を補修する手順を解説します。
基本的には以下の手順で作業します。
- 表面をブラッシングする
- 汚れ落としクリームで表面をふき取る
- 補修部分の色に近い色味を用意する
- 補修部分に塗っていく
- 乾かす
- ウエスかミトンで表面のクリームをふき取る
1.表面をブラッシングする
表面にホコリや糸くずが残ったままクリームを塗ってしまうと、凹凸ができる原因になります。
作業の最初には、必ず馬毛ブラシを使って表面についた汚れを落とすようにしましょう。
隅や内側のブラシが届かない部分は、爪楊枝や綿棒などを使って掃除することができます。
2.汚れ落としクリームで表面をふき取る
表面のホコリを落とした後は、ステインリムーバーなどの汚れ落としクリームでブラシで落ちない汚れを落とします。
汚れが残ったまま補色クリームを塗ってしまうと色ムラの原因になるので、この工程は怠らないようにしましょう。
また、汚れ落としクリームを塗り過ぎたり力を入れて拭いてしまうと、革の乾燥やシミの原因になります。
塗り過ぎず、優しくふき取ることを意識しましょう。
3.補修部分の色に近い色味を用意する
内側など擦れが少ない部分を見て、革本来の色を確認します。
基本的には下の4色のクリームをもっていれば、たいていの補修は可能です。
・ブラック(Saphir:01)
・ライトブラウン(Saphir:03)
・ブラウン(Saphir:04)
・ホワイト(Saphir:21)
違う色味の補修をする場合は、新しくクリームを購入するか、調色して色を作るようにしましょう。
4.補修部分に塗っていく
革本来の色が分かれば、その色のクリームを擦れて変色してしまった部分に塗っていきます。
クリームを塗るときのポイントは水やレザーローションを混ぜることです。
水っぽさが増して伸びが良くなりますし、クリームの節約になります。
周りと比べて補修箇所が目立たなくなってきたら、乾燥させてクリームを革に浸透させます。
クリームを塗るときには、必ず目立たないところから少ない量で塗り始めましょう。
色が合っていなかったときは、塗ったクリームをすぐに指やクロスで拭きとると痕が残らずやり直しがききます。
5.乾かす
クリームが乾燥してきたら、もう一度、補修箇所に違和感がないか確認します。
革が乾いたことで周りの部分と色の差がでてきていたら、再度補色クリームを重ね塗りして色を同化させていきます。
その時に革がひび割れていたり、栄養が足りないと思ったら、レザーローションを塗って保湿しましょう。
6.ウエスかミトンで表面のクリームをふき取る
補修部分が周りと比べて目立たなくなってきたら、表面に残ったクリームを拭き上げます。
ふき取り作業はクリームを均一に伸ばすためでもあり、残ったクリームがシミの原因になることを防いでくれます。
最後の仕上げとして必ず行うようにしましょう。
革製品の補修における注意点
この章では、革製品の補修で気を付けるべきポイントを3点解説します。
ついやってしまいがちなことなので、意識しておきましょう!
力を入れすぎない
革はデリケートなので、力の入れすぎると革を傷める原因になります。
僕自身、つい力を入れすぎてしまって革を傷めることが多くあったので、卵を扱うような気持ちで革を扱ってみると仕上がりもよくなりました。
優しく、丁寧に扱うことで仕上がりが変わりますので、ぜひ参考にしてみてください。
クリームを塗りすぎない
かさかさの革を見るとつい沢山クリームを塗ってしまいたくなりますが、クリームの塗りすぎはシミやべたつきの原因になるので逆効果です。
時間がかかっても少量を何回かに分けて塗ることで、後戻りできないような失敗は避けられます。
クリームを塗る量は適量にしましょう。
一気に塗らない
カラー補修クリームを塗るときには、必ず目立たない部分で試し塗りすることが大切です。
一気に塗ってしまうと色むらの原因になるだけでなく、製品自体が使い物にならなくなってしまいます。
後戻りできない状態を避けるために、初めから補修箇所にクリームを塗るのではなく、徐々に色を確かめながら塗るようにしましょう。
革製品の補修は簡単にできる!
最初は難しく感じる革の補修ですが、何度かやるうちにやり方を覚えて簡単に感じてきます。
この記事では用意するアイテムを沢山挙げましたが、最低限必要なものは数品程度です。
お気に入りの革製品を長年愛用していくためには適度な手入れが不可欠なので、この機会に革の補修にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
質問などございましたら、お気軽にコメントくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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